給与所得者が1年以上の予定で海外の支店などに転勤すると、一般的には、日本国内に住所を有しない者と推定され、所得税法上の非居住者となります。
非居住者の場合、国内源泉所得(例えば、国内不動産の賃貸料収入など)のみが課税対象とされ、日本の法人の役員の場合を除き海外勤務に基づき支給される給与は課税されません。
しかし、非居住者に該当していた海外勤務者が、日本に帰国した後は居住者となりますので、居住者となる帰国後は国内源泉所得に限らずすべての所得が課税の対象となります。
なお、帰国後の勤務に対する給与については年末調整の対象になります。
したがって、帰国した年分の確定申告は帰国前の国内源泉所得(源泉分離課税となるものを除きます。)と帰国後のすべての所得を合計して計算することになります。
(年の中途で非居住者が居住者となつた場合の税額の計算)
第百二条 その年十二月三十一日(その年の中途において死亡した場合には、その死亡の日)において居住者である者でその年において非居住者であつた期間を有するもの又はその年の中途において出国をする居住者でその年一月一日からその出国の日までの間に非居住者であつた期間を有するものに対して課する所得税の額は、前二章(課税標準及び税額の計算)の規定により計算した所得税の額によらず、居住者であつた期間内に生じた第七条第一項第一号(居住者の課税所得の範囲)に掲げる所得(非永住者であつた期間がある場合には、当該期間については、同項第二号に掲げる所得)並びに非居住者であつた期間内に生じた第百六十四条第一項各号(非居住者に対する課税の方法)に掲げる非居住者の区分に応ずる同項各号及び同条第二項各号に掲げる国内源泉所得に係る所得を基礎として政令で定めるところにより計算した金額による。
注意事項
確定申告に際して適用する各種所得控除について、以下の点にご注意ください。
1 医療費控除、社会保険料控除、小規模企業共済等掛金控除、生命保険料控除、地震保険料控除の各控除の額は、居住者期間(帰国後)に支払ったこれらの金額を基として計算します。
2 配偶者(特別)控除、扶養控除、障害者控除、寡婦控除、ひとり親控除および勤労学生控除の各控除の額は、その年の12月31日の現況により判定したところで計算します。
根拠法令等
所法2、5、7、8、102、120、121、161、165、190、所令14、15、258